美容師にとっては、夏はつらい時期である。クーラーで身体が冷えるからで、
職業病的に痛める首、肩、手の痛みがひどくなる。この男性は、軽度の頸椎損
傷を起こしており、入院歴がある。そのときと同じくらいにひどくなったとい
うことで、以前一度来院したが、その症状は一回の治療で消失した。ハサミを
持つ右手と櫛を持つ左手の位置関係、首を傾げて下から見上げる姿勢をとるこ
とが多いことから、治療点が左右非対称になる。上部頸椎周辺のコリを丹念に
ほぐすと、ため息を連続して出していた。痛いのではなく、主として頭頂部と
眉のあたりに、ツーンとした響きがあり、痛いような気持ちの良いような、何
とも言えぬ快感があるという。治療が終わったあと、仰向けで首を軽く牽引し
て、5分ほど安静にしてもらった。帰るとき「生き返った!」と言っていた。
何度も繰り返すが、上部頸椎周辺の治療は、効果的である反面、リスクを伴う。
身体の中の鍼の動きを感じ取れるくらいの敏感な指を持っていない人には、奨
められない。
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